乾癬の治療法

治療の種類

治療法は大きく分けて、 塗り薬、 飲み薬、 注射剤(生物学的製剤)の薬物療法3種類と、光線療法の合わせて4種類があります。
乾癬の治療は、患者さんの症状や治療目標、治療効果などを考慮して、4つの治療法を単独あるいは組み合わせて行います。

療法:塗り薬、飲み薬、注射剤

塗り薬

  • ステロイド外用薬
  • ビタミンD3(ディースリー)外用薬
  • 配合剤

飲み薬

  • PDE4(ピーディーイーフォー)阻害剤
  • レチノイド製剤
  • 免疫抑制剤

注射剤

  • 生物学的製剤
療法:光線療法
  • PUVA(プーヴァ)療法
  • ナローバンドUVB(ユーブイビー)療法、など

塗り薬

塗り薬は乾癬治療の基本になります。主に、ステロイド外用薬、 ビタミンD3(ディースリー)外用薬、 これらの配合剤があります。 症状に合わせて、塗り薬以外の治療法と組み合わせることがあります。

ステロイド外用薬
  • 炎症を抑えるお薬です。
  • 長期間使用すると、皮膚が薄くなったり、毛細血管の拡張がみられたり、感染症をおこしやすくなることがあります。
ビタミンD3(ディースリー)外用薬
  • 皮膚の過剰な増殖を抑えるお薬です。
配合剤
  • ステロイド外用薬とビタミンD3(ディースリー)外用薬を合わせたお薬です。
    2つの外用薬を合わせることでより効果的になります。

飲み薬

飲み薬には主に、PDE4(ピーディーイーフォー;ホスホジエステラーゼ4)阻害剤、レチノイド製剤、免疫抑制剤の3種類があります。オテズラ錠PDE4(ピーディーイーフォー)阻害剤です。症状に合わせて、飲み薬以外の治療法と組み合わせることがあります。

PDE4(ピーディーイーフォー)阻害剤
  • 免疫バランスの乱れを整え、炎症を抑えるお薬です。
  • 服用初期に吐き気や下痢、頭痛などがおこることがあります。
  • 妊娠または妊娠している可能性のある方は服用できません。
レチノイド製剤
  • 皮膚の過剰な増殖を抑えるお薬です。
  • 肝障害や腎障害のある方は服用できません。
  • 服用中に子供ができると、胎児に奇形が生じるおそれがあります。
免疫抑制剤
  • 過剰な免疫機能を抑えるお薬です。
  • お薬によっては血圧上昇や腎機能障害などがおこることがあるため、定期的に血圧測定、血液検査を行います。
  • お薬によっては妊娠または妊娠している可能性のある方、授乳中の方は服用できません。

注射剤(生物学的製剤)

免疫機能にかかわり、炎症を引きおこす特定の物質の働きを抑えるお薬です。飲み薬や光線療法で十分な効果が得られない患者さんに使用されます。免疫機能を抑える作用が強いため、感染症にかかりやすくなる場合があります。

光線療法

症状のある部位や全身に紫外線を照射することによって、過剰な免疫機能を抑える治療法です。乾癬治療では、PUVA(プーヴァ)療法※1ナローバンドUVB(ユーブイビー)療法※2などが行われます。塗り薬や一部の飲み薬、注射剤と組み合わせることがあります。なお、光線療法を受ける場合は、最初は1週間に1~2回程度の通院または入院による連日照射が必要になります。症状が落ち着いたら2~4週間ごとの照射でもコントロールできるようになります。

  • ※1 PUVA(プーヴァ)療法:光に対する感受性を高める薬を服用または外用した後、A波紫外線を照射する治療法
  • ※2 ナローバンドUVB(ユーブイビー)療法:波長311nm付近のきわめて狭い範囲のB波紫外線を照射する治療法

監修 あたご皮フ科 副院長 江藤 隆史 先生